魚野川の夏。
夜明け前に関越トンネルを超えると、東の空が明るくなり始めていた。
六日町のあたりを走っていると、有名な魚沼産コシヒカリの田園が広がっている。
今週は恵みの雨が降ったせいか、空に向かって稲穂のツンと伸びた
鮮やかな緑が印象的だった。
すでに鮎が解禁になっているので、鮎師が川に入るまでが釣の出来る時間帯かなと
いつもより早めに出発して魚野川に到着したが、一番乗りだったようだ。
今回は以前読んだ雑誌に載っていた魚野川の夏岩魚が釣りたかったので、
ガンガン瀬をダブルハンドロッドでシューティングラインをオーバーヘッドで
キャストしながらスイングさせステップダウン。
ここ数日、雨が降っていたせいか、水量もあり水温も幾分低く感じる。
気温もまだ川には陽が入っていないので肌寒い。
「出ろ。出ろ。」と思いながらも、
頭の中では車中で聞いていた心地いい音楽の旋律が聞こえるようで、
リズム良くキャストが繰り返せている。
そう、キャストはリズム感が大切なんだよね。
そして15分後、ガンガン瀬の終わり近くでスイングしているときに、
ズン!とロッドに重みが伝わり、フッキングするとブルブルと頭を振っている生命感が
伝わって来た。
一尾目だったので、慎重なロッドワークを心がけてランディング。
ネットインしたのは、30cmの元気なレインボートラウト。
撮影していると東の山から朝日が差し込み祝福してくれているみたいだった。
そして、その後も本命ポイントの流れ出しにさしかかると、
小さなヤマメが数尾釣れた。
250メートル下ると根がかりする水深になったので、また最初のポイントに引き返すと
対岸のおとり鮎の販売所で花火が上がった。
しかし、周りを見ても鮎師は人っ子一人見当たらない?
いつもの年なら5メートルおきに長い鮎竿が並ぶはずなのに、
これも中越沖地震の影響なのかなと思った。
一度流れをカバーしているので、魚たちはフライにスレている可能性もあるので
2回目はドロッパーシステムの組み合わせをいろいろと変えて実験的な釣をしていた。
そしてさきほどチビヤマメがイレ食いだった流れ出しをスイングし終わり
リトリーブを開始しようとしたとき、もぞもぞとした違和感が感じられたので
咄嗟にラインを逆に少し送り出し喰わせのタイミングを作った。
そして1秒後フッキングしたグググっ!と心地いい重みがロッドに伝わる。
先ほどよりロッドが少しだけ曲がっているので、サイズアップかと頬が緩む。
釣られているのが解らなかったのか、最初は簡単に寄って来たのだが僕の顔を見た瞬間
下流に一気に走り出した。
慌ててたぐっていた手元のラインをフリーにして送り出したのでなんとかバレなかったようだ。
そいつはテンションをいやがり2度ジャンプして逃げようとしたけれど、
僕のネットに無事収まってくれた。
先ほどよりもグラマラスな小太りタイプのレインボートラウトは重みのある38cm。
夏岩魚ではなかったけれど、僕にとっての夏虹鱒。
夏の日差しが反射してボディが眩しかった。
リリースすると疲れたのか、慣れてしまったのか、しばらくじっとしていたが
指先でチョンと尾びれを触るとジェット戦闘機のように流れに消えて行った。
撮影をしている間に、前後には鮎師が何人も入っていた。
だけど、友釣には水深がありすぎて向いていないのか、僕が釣をしている区間には
入ってこないので、ありがたい事にまだ釣ができそうだ。
お昼頃に天候が崩れて来て雨がポツポツきたけど、すぐに止むだろうと気にしなかった。
車にわすれたレインウエアを思い出したけど夢中で釣り続けた。
しかし雨で活性が上がったのはチビヤマメばかりで、ランディングするたびにリズムが狂い
頼むからかからないでとリリースするたびにお願いした。
2度ほど大きな魚のアタリがあったが、フッキングのタイミングがずれてしまう。
そして30分後、大粒の雨が空から降り注いできて土砂降りになったけれど、
夏の雨は濡れても気持ちがよかった。
by Lt_cahill
| 2007-07-29 21:54
| Fishing Report