ロシア・サーモンフィッシング・クフトゥイリバー vol.12

150メートル先の記憶。
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ランチの後に僕は杉坂さんと初日以来行ってなかった
ロッジより上流のポイントが気になりボートで向かった。
杉坂さんは下流で撮影をするので、邪魔にならないように
上流にポイントを探しながら一人歩いて行った。
普通の本流なら流れをスイングして釣り下りたいところだが、
サーモンの釣りは流れの中で釣るのは口を使わないので効率が悪い。
遡上して来てちょっと休むような場所を探すのだが、なかなか見つからない。
ボートや杉坂さん達が見えない場所まで来ると
周りの砂地には真新しい熊の足跡が無数にある。
そして聞こえるのは風の音と川の音だけ。
ロシアの大地で自分一人になったようで気持ちがいい反面、ちょっと不安がよぎる。

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良さそうな場所を見つけ最後の数時間はスペイフライを結んでみた。
キャストしてスイングさせると遡上の数が増えたシルバーサーモンが
やはりフライにアタックしてくれる。

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自分の周りを見ていると前後左右サーモンが何尾も何尾も群れをなして遡上して行く。
これが自然界で毎年繰り返されていると思うと地球ってスゲーッ!と感動する。
この川は6月に大洪水で我々が泊まっているロッジの一階まで水位が上がり
宿泊していた人は2階から釣りをしていたという、嘘みたいな本当の話を聞かされた。
推測すると今より4〜5メートルは水位が上がった事になる。

だから下流域は湿地帯で毎年道路を作り直しているらしい。
川にはいたるところに流された大きな倒木が積み重なっているし、
川底にも堆積しているので、ボートの操船もときどきスクリューが
木に絡まったりして何度も危ない目にあった。
上流にダムがないから毎年氾濫するが、サーモン達はそんな自然に守られて
これからも子孫を残してゆくのでしょう。

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何尾かのサーモンが釣れたが、突然「パーン」と近くで銃声が鳴り響き遠くの山にこだました。
飛び上がるほどビックリしたが、ロシア人のハンターが熊狩りをしているようだ、
それから10分おきに3発の銃声が静かな大地を震わせた。
下流に戻ると杉坂さんはドライフライでシルバーサーモンを釣り上げて
貴重な映像が撮れ、これからインタビューを撮影するというので、
そのポイントに入れてもらう。

僕も午前中に反応が良かったフローティングワカサギをキャストしてみるが、
なかなか反応しない。
しつこく数十分繰り返していたら、我慢しきれなくなったサーモンがライズ!
こんなドライフライの釣りができるなんてエキサイティング!

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そして、再びスペイフライを結び倒木の隙間にキャストすると
シルバーサーモンが銀色に輝く魚体を水面近くで爆発させフライに襲いかかって来たのです。
そいつはそのプールから一気に本流の流れを突っ切り、
下流に向かって走り出しました。
そのスピードとパワーは圧倒的で80cmはゆうに超える大きさでした。
リールは「ギィーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」と
逆転音を鳴り響かせ巻いてあるラインが凄い勢いで出て行きます。
多分、スレがかりをしていたのでしょう、
アッという間に100メートルのシューティングラインが出て、
バッキングラインが30メートルまででたところで止まりました。
ああ、このサーモンは捕れないなと諦めると同時にラインが切れることを覚悟しました。

そして下流で3度、ジャンプしている大きなシルバーが見えたのです。

最初はピンとこなかったのですが、まさしく自分のラインの先の魚だったのです。
シューティングヘッドが14メートル、リーダーが12ftで約3.6メートル、
付け足したティペットが2.5メートルですから
およそ150メートルの距離です。
ジャンプの後、テンションが無くなりラインを回収すると
リーダーとティペットの結び目が切れていました。
なぜかその時「切れて良かった」と思ったのでした。

釣っていたポイントは水深のあるプールが立ちはだかり、
下流に向かって走る事も出来ませんでした。
ブラッドピットや釣りキチ三平のように流されながら釣り上げるなんて、
ここでは死を意味するでしょう。
逃した魚は大きい(笑)

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今回用意したリールはLoopクラッシック8-11。
ドラッグシステムはパワーマトリクスドラグシステムで
クリック音はドラックとは別になっていて巻取り時、
逆転時も心地よいクラシカルサウンドが響きます。
シューティングラインはエアロシューターの50lbフローティングサーモン100メートル。
これは飛距離を犠牲にしても大物とやりとりした時に、
太いティペットを使用してもラインが切れないように
選択したのですが、幸か不幸かラインは切れませんでした。

それにしても、今回実感したのが
釣れた魚はその大きさと美しさに魅了され、釣れた行程は忘れてしまう。
逃した魚はそのやり取りの行程を細部まではっきり記憶しているということ。

この魚がロシア最後の僕のサーモンになりましたが
それは今回釣り上げたサーモン以上に、
自分の中では目に焼き付いていつまでも忘れられないサーモンです。

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その夜、12時過ぎに供給されている自家発電の電気がカットされた暗闇の中、
北緯60度の星空を撮影しながら
いつかまた逃したサーモンを釣りにくるぞと誓い、眠りについたのでした。
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by Lt_cahill | 2007-09-09 20:45 | ロシア釣行


過ぎて行く時間、とどめておけない一瞬を残したいから…。どんなに大きな魚を釣り上げても、どんなに美しい魚と巡り遇えても、終わりの無い旅…フライフィッシング。それは確かに難しい、だからこそ面白い。


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